長年サッカーを指導していても、なかなか指導効果や改善がうまくいかないものがある。それは、『キック』と『観る』だ。サッカーの基本とも言えるものだが、時には『止める、蹴る』とか『視野の確保』と言うこともある。キックに関しては、キック力ではなく、『正しいインステップ』である。特に低学年のうちに習得してほしいのだが、どうしても『つま先蹴り』になってしまう子が多い。昔は、壁打ちのできるブロック塀があったものだが、なかなか練習する場所がないので、個人練習する場所がない。年齢が進むにつれ、キック力はつくものの、やはり基本が身についていないと、中高でもキックの精度で苦労することになる。まずは、ボールを静止させての練習だが、毎回ボールをひろいにいくのは非効率だ。ボールを網に入れて、常にインステップで蹴るのもいい練習だし、『トレーニングベルト』や『リバウンダー』といってキックしても戻ってくるのを利用するのもいいかもしれない。それから転がってくるボールを蹴るのはチームでの練習がいい。 次に指導が難しいと思うのが、ゲーム中での『観る』だ。敵が多ければ多いほど、ボールを身体のそば、特に足元におかなければ相手に取られてしまう。足元におけばおくほど、ボールは見にくくなるので、どうしても下を観てしまう。それで、敵との駆け引きもできず、寄せられ、結局取られることが多くなる。ここ数週間1,2,3年生を指導することが多かったので、ゲームを観ていて一番気になったのが、1vs1でボールを奪われることが多いと感じた。『奪われない』ためには、敵との距離、つまり『間合い』をつかむことだ。これはとても時間がかかる。『間合い』は相手と自分の『スピード』の相関関係だ。あっという間に3、4人に囲まれてしまう。これではどうやっても、抜け出すことが難しい。もちろん、1vs1でのフェイントの練習も重ねているが、試合でフェイントを使える子も少ない。フェイントを使い、1vs1で抜ける子を育成するにはどうしたらいいか?いくらフェイントを動作として身に着けても試合で使えないことが多い。フェイントしている間に相手に寄せられてしまう。まさしくクラッシュ! 指導の原点に返って、まず視野を確保しながらのドリブルの練習とパス練習をした。1vs1のフェイントの前に視野を確保することに注力した。抜く際の『間合い』は『視野の確保』が必要性である。大きめのグリッドの中で2色のビブスに分かれて5vs5でドリブルしながら、別な色に渡す。ボールは最初5個。多ければ多いほど、難しい。時には、2個のボールが渡ることもある。観ることが大切だ。慣れてきたらボールを減らす。次はコーンとコーンでゲートを5か所作り、同じルールでゲートを通してパスをする。しかし、これだけだと視野の確保とパスの練習だけになってしまう。1vs1の仕掛けと間合いの練習も必要だ。抜く自信のある子は、相手に向かうスピードも速いので、フェイントがかかりやすいが、自信のない子ほど、スピードを落としたり、止まったりするので、かえって奪われやすくなる。それぞれスピードも違うので、一人一人が自分の特異な抜き方を一つでも持ってもらいたい。に行ったのが、2ゴール&2ゴールの練習だ。2つのゴールを大きく離すことで、1vs1の突破がやり易くなったところで、少しずつ狭めてみる。また斜めからボールを出してやるなど、変化をつけてやると、トラップひとつで突破する子も出てくる。 1vs1の突破で改善できたことは、片方のゴールを狙って、誘って逆をついて抜く子が増えたことや、スピードの変化をつけれるようになったことである。