誰でもメッシや三苫だ

 『ジンガ』を代表する見せるフェイント。その前にはクライフターンやジダンのマルセイユルーレット。その前はクーバートレーニングと、様々なフェイントを身に着けようと子どもたちは一生懸命だった。またリフティングも色々な技が紹介され、子どもたちは目を輝かせた。
 しかし、これらのフェイントやリフティングに時間を割いても、実際に試合で使う場面はそんなに多くはない。
 ある記事に、『メッシがこうした個人技を変えた』と書かれていた。『どういうこと?』と読んでいるうちに納得した。つまり、華麗な、相手を翻弄するようなフェイントやドリブルワークも、メッシは相手の動きを見て、体重移動だけで、スピードも落とさず、抜き去るというのだ。そして、その流れをくむのが三苫のようなプレーヤーだというのだ。
 最近では、リフティングやフェイント練習は、『運動能力』とりわけ、『運動神経』の向上という目的では成果があると、割り切って考え、試合のための練習とは区別している指導者もいる。選手にとって『運動神経』の向上は、とりわけ育成年代では大切であるし、リフティングやフェイントやドリブルワークは個人練習としては大切である。    メッシの運動神経の良さは、『重心の移動』の速さだと言われている。あまりにも速すぎて、メッシがフェイントを多用せず、何事もないようにスッと相手を抜いていく印象がある理由はそこにある。普通の選手の反応の速度は0.3秒と言われているが、メッシの動きに相手が反応するのに0.3秒かかるが、メッシの動き出しは0.1秒と早く、DFが反応する前に抜き去ってしまうのだ。だから、ドリブルやフェイント、ラダーなどは反応速度を向上させる目的に行い、サッカーやゲームの練習とは別に考えた方が良いと思われます。   チームでも練習の最初には、アップがわりに取り入れるが、練習時間が限られることを考えると、自宅で一人練習することの方が効率的である。冬場に、いろいろなドリブルやフェイントを練習したのも、それらの技を覚えて、自宅で個人練習してほしいからだ。
 しかし、自宅で個人練習をしているかというと、それほどでもないようだ。それは、習得にかなりの時間がかかり、身につくまで練習を続けるのが難しいからだ。たぶん個人練習の時間はかなりの個人差があるだろう。
 しかし、サッカーはもちろん、どんなスポーツも運動神経の差は出てしまいます。埋めるにはやはり絶対的な個人練習しかありません。指導した選手でその後も活躍している選手は、やはり自宅で暇さえあればボールで練習してきた子どもたちだ。限られたチームの練習時間を考えれば、個人技にそう時間はかけられない。自宅で練習する個人技をベースにチーム練習を行う。
 攻守の切り替えが早く、スピーディな現代サッカー。より早く、よりパワフルなのが最近のサッカーである。守備する選手が、ボールに向かって取りに来る瞬間にワンタッチでかわすのが理想的なフェイント技術だと思う。だから相手に取りに行きたくなり、足を出したくさせるようなドリブルができれば最高だ。それができれば、誰だってメッシや三苫だ。