心に穴があいて

 日本vsブラジル 1点先行したが、ビルドアップではなく、インターセプトからの速攻での得点。しかし、こうした得点パターンは何度も再現できない。ブラジルは慌てない。そこはさすがだ。まるでミスを誘うような落ち着いたボールポゼッションだ。そして最後はクロスからのヘディングシュートで同点。ジャンプしてからのヘディングの強さは、見事である。背筋力も含めた、体格的ハンディーを感じた。同点後の試合運びも慌てる様子はない。日本の守備の乱れを待つかのような静かな時間が不気味だ。日本も攻めに転じたいが、それができない。目に見えない『取りにいったらやられる』怖さが、だんだんと体力も奪っていく。守備の時間が長いと、その恐怖から、無理な仕掛けや急ぎすぎるようになる。日本代表は、そこをしっかりとコントロールし、よく耐えたと思う。            試合の後は、なぜか朝の通勤時間もなんか静かな気がした。勤務先でも、なんか全員が大人しい。心に穴が開くとはこんな気持ちなんだろうな。今までの日本代表では感じなかった気持ちである。『さあ切り替えていこう』本田圭祐のことばが優しかった。       今回の日本代表の守備面のコーチは、元日本代表の斎藤俊秀さん。ライセンスと取りに行ったとき、周りはプロの選手ばかりで、その中で最年長の私をいつも気にかけてくれた。練習後二人で30分のランニングを欠かさなかった。いろいろな話をした。テレビの画面にちょっと映し出された顔が、少し寂しげだった。彼はU-15、U-21、フル代表とコーチとして、若い久保や富安らを育ててきた。その人柄から選手に寄り添い信頼されるコーチだったろう。富安選手の大きな怪我から復帰し、ワールドカップでの大活躍も斎藤コーチの力が大きいと思う。森保監督と歩んだ8年間、ご苦労さまでした。